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ジャイアンツ帽愛好者・血祭鉄兵によるテンパイどころかノーテンパーブログ。

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堀内 恭 編集 【亀有名画座 のどかめ通信 創刊第3号 未亡人あの道教えます篇】

1941年に「亀有會館」として竣工され、戦後の1959年に東映封切専門館「亀有東映」、1980年に一般映画・成人映画各社を特選上映する「亀有名画座」、1983年に成人映画特選上映専門館(春・夏・冬休み期間中のみ「東映まんがまつり」、「東映アニメフェア」を封切上映)となった「亀有名画座」は、紆余曲折を経ながらも大勢の観客に親しまれてきた商店街の中の映画館だった。


ロマンポルノピンク映画の殿堂”、“名画座アラモの砦”とも呼ばれた亀有名画座は、立地する「本通り商店街」の東京都による道路拡張工事を理由に、1999年2月28日をもって惜しまれながら58年の歴史に幕を閉じた。


その亀有名画座を手弁当で陰から支えていた「亀有名画座睦会」の中心人物で、ミニコミ誌『亀有名画座全上映番組年表』(1999年2月1日発行)編集人の堀内恭氏に【亀有名画座 のどかめ通信】の転載許可をいただきましたので、ここに注釈を加え転載いたしました。


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【亀有名画座 のどかめ通信】

(創刊第3号 未亡人あの道教えます篇・不定期・部数7部 1999年発行)

文:堀内 恭(フリー編集者・「入谷コピー文庫」発行人) 補足:血祭 鉄兵


『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
の1996年「浅草シネマパラダイスの巻

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こちら葛飾区亀有公園前派出所 97 (ジャンプコミックスDIGITAL)



1999年「亀有名画座物語の巻

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こちら葛飾区亀有公園前派出所 (第115巻) (ジャンプ・コミックス)



での映写室のカットは、昭和30年代映画黄金期(秋本治先生の少年期)と平成11年(1999年)名画座斜陽の時の隔たりがあるにもかかわらず、まるで変わっていない。もちろん、映写機そのものは、東京オリンピック(1964年)の頃に閉館まで使われたものに変わったが、この映写室の雰囲気はそのままだ。


モギリ(※亀有名画座では入り口の扉から入った受付がモギリだった)で今井さん(※亀有名画座支配人。以下「今井さん」)といろんなくだらない話をするのが(いつも缶コーヒーとかお茶とかごちそうになりながら)、第一の楽しみなら、あの(※入り口から入って両脇にあった関係者専用の)木の階段をギシギシ音させて上がり、この二階にある映写室をのぞくのが第二の至福の時だった。


最初にこの映写室を見た人は、みんな感動せざるをえない。あの華やかな映画の夢と匂いがこの映写室で息づいているからだろうか。


5年前(1994年頃)はまだYさん(1922年生まれ。2001年3月3日永眠)とNさん(1925年生まれ)という大正生まれの二人の映写技師さんが交互で映写をやっていた。


二人とも映画畑を歩んだ人で、映写室を覗くと、陽気なYさんは「ヨォ!」と手を上げ、人見知りするNさんは手を前に合わせ、小さく会釈してくれた。
浅草の小屋(浅草中映。2012年10月21日閉館)で支配人(八重洲シネマ支配人も務めたと公式パンフレット『こちら葛飾区亀有銀座奥名画座』に記述あり)までやったYさんとは、昔話や映画にまつわる世間話をよくした。


一方無口なNさんとは、野球の話と胃潰瘍の話と、あとは天気の話しかしなかった。大の日ハム(かつての東映フライヤーズ)ファンで、いつも携帯ラジオで野球放送を聞いていた。


ToeiFlyersHistory
日本ハム70年史 上巻―東映フライヤーズ全史 (B・B MOOK 1186)



そんなNさんに、たった一度だけ何故映写技師になったのか聞いたことがあった。その記憶も今ではあやふやだが、何でも新潟で生れ、写真屋の友人の薦めで、16歳の時に、二級映写技師試験(筆記と実技試験)を受け、20人中5人が合格した中に、Nさんもいたのが、映写人生のスタートだったらしい。


新潟の柏崎・三条、群馬の沼田、千葉の野田、百万弗劇場(1952年10月20日閉館。東京都台東区浅草2丁目11番1号)、そしてまた野田の野田東映へと戻り、野田東映が閉館して、昭和58年(1984年)から亀有の映写室でフィルムを回し始めた。映写技師一筋58年の歩みだった。


Nさんが映写室から降りてくるのは、トイレ以外には、休憩時間の時に入り口に降りてきて、タバコを一服、その間に今井さんがトイレに行く。そして、戻ってきた今井さんと話すのは、ほとんど映写機の調子のことだった。そして、今井さんが


じゃ、Nさん、そろそろ


と大きな声で言うと、ぺこりとおじぎをして、ひょろひょろとまた階段を上がっていった。Yさんが(1997年春)退職して、この映写室はNさん一人、朝11時から夜9時半までフィルムの回る音とあえぎ声以外聞こえない静かな時間が流れていた。


体調を崩し、Nさんが一人で出来なくなってからは(1999年1月初頭にNさんは退職)、午後6時には、Nさんと交替して今井さんが映写をすることになった。


映写技師として、この小屋で働くようになって、また最後も映写とは不思議な縁だよねぇ


と笑っていた。今井さんはフィルムが回っている間、映写室を上がった廊下の椅子に腰掛けて本を呼んでいた。その本は、映写に関する専門書であり、その昔、戦後学生アルバイトとして巣鴨プリズンでハウスキーパー(主に掃除)として働いていた時に、かわいがってくれた将校からもらった英語の本だったりした。


二階の窓から、夕暮れた館前の道が見えた。その道をNさんが黒いバッグを肩に掛け、ゆっくりゆっくり帰っていった。その小さな後ろ姿を見て、拙句が浮かんだ。




夕闇に 老映写技師は 咳ひとつ




映写室、人それぞれの夢と幻を映し続けた映写室は、今はもうない。




亀有本通り商店街1998
道路拡張工事完了以前の亀有本通り商店街 1998年 撮影:血祭鉄兵









部数7部でこの文を埋もれさせるには非常に惜しいと私は判断いたしましたので、堀内氏の許可を得て転載させていただいた次第です。


また映写技師のNさんは、テレビ朝日の今は無き深夜番組『TONIGHT2』(1996年8月28日放送分)で亀有名画座と共に取材を受けて「(映写技師になるには)昔は試験があったからね」と仰られておりましたので、もしも放映当時録画していた方はビデオテープを探して是非見ていただきたい映像です。


血祭の記憶では、「'96夏 東映アニメフェア」から通常の成人映画上映に戻すため、館内外ポスター張り替えや、看板を替える作業などを今井支配人と亀有名画座睦会の方々とで行っていたのも映っていたと思います。1996年当時の亀有名画座を見ることができる貴重な映像です。




参考文献

kamearimeigaza-panfumini19990207
亀有名画座公式パンフレット『こちら葛飾区亀有銀座奥名画座』(1999年2月7日発行・完売)

企画/堀内 恭 斜見 シネ彦
取材・執筆/斜見 シネ彦
編集/堀内 恭
発行/亀有名画座睦会

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テーマ:昔の映画 - ジャンル:映画

  1. 2016/10/22(土) 12:55:00|
  2. 亀有名画座
  3. | コメント:0

斎藤浩一(「シネマ秘宝館」主宰)特別寄稿 【さよなら『亀有名画座』】

1941年に「亀有會館」として竣工され、戦後の1959年に東映封切専門館「亀有東映」、1980年に一般映画・成人映画各社を特選上映する「亀有名画座」、1983年に成人映画特選上映専門館(春・夏・冬休み期間中のみ「東映まんがまつり」、「東映アニメフェア」を封切上映)となった「亀有名画座」は、紆余曲折を経ながらも大勢の観客に親しまれてきた商店街の中の映画館だった。


ロマンポルノピンク映画の殿堂”、“名画座アラモの砦”とも呼ばれた亀有名画座は、立地する「本通り商店街」の東京都による道路拡張工事を理由に、1999年2月28日をもって惜しまれながら58年の歴史に幕を閉じた。


そこで、幼少期の1970年代から「亀有東映」時代の上映を体験し、成人後再び亀有名画座に魅せられ、かつしかFM『斎藤浩一のラジオ秘宝館』(1998年7月7日から1999年6月30日まで全52回)第34回「さよなら亀有名画座特集」では閉館日の模様、来場者へのインタビューを放送した、娯楽系自主映画上映会シネマ秘宝館主宰・斎藤浩一氏に亀有名画座への想いを綴っていただいた。


※1999年6月に寄稿していただいたものを、Web掲載用に再構成いたしました。




【さよなら『亀有名画座』】

文:斎藤 浩一(娯楽系自主映画上映会「シネマ秘宝館」主宰) 構成:血祭 鉄兵


1999年2月28日。私にとってかけがえのない映画館「亀有名画座」が姿を消した。


亀有名画座1995年5月20日撮影
亀有名画座(1995年5月20日) 撮影:児玉アパッチ


この映画館との付き合いは幼少期にまで遡る。まだ「亀有名画座」が「亀有東映」であった頃(1959年から1980年1月29日まで)、「東映まんがまつり」があると必ずと言っていいほど、父に幾度となく連れて行ってもらっていた。


『マジンガーZ』や『ゲッターロボ』といったテレビで見慣れたキャラクターが大人にとっても余りある巨大なスクリーンに躍動する様は、子供を夢中にするには充分だった。売店でお菓子やパンフレットをねだり、帰りには食事のフルコース。毎年「東映まんがまつり」のテレビCMが流れる度に父にしきりにねだったものだった。







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復刻!東映まんがまつり 1973年夏【DVD】


やがて多くの人々と同じく成長するにつれ、次第に父と映画を観ることもなくなり、友人と映画を観ることがあっても、「亀有」に出向くことが無くなった。そんな折、私が高校生の頃に「亀有東映」が「亀有名画座」に名を変えていたと知った(「亀有名画座」への館名変更は1980年1月30日)。 


だが、現在のように映画に熱狂する前の私にとって、そのようなことは蚊帳の外の話題でしかなかった。そして時代が過ぎ、立派な映画狂となった25才の冬、突如として「亀有名画座」に行きたくなった。まるで疎遠になっていた友人を思い出し、急に会いたくなった時の感覚に近い感情が湧き出したのだ。そして仕事もそこそこに、その日の最終上映時間前に「亀有名画座」へ……。


亀有本通り商店街1996年001
亀有本通り商店街(道路拡張工事完了前) 1996年 撮影:血祭鉄兵


変な改装をされていたらさぞかしがっかりするだろう、何も変わっていなければどんなに良いだろう……。そんな自分勝手なことを思いながら足を運んだ私を出迎えてくれた映画館は、ポスターの種類こそ違えども、幼少期に父に連れられて足繁に通った20年程前の姿と全く変わっていなかったのだ。これには正直言って驚いた。


私は古い建築物が好きなのだが、どんなに味のある建築物でもあっても、都市計画の名のもとにあっという間に時代に飲み込まれ姿を消して行く様を、嫌というほど見せつけられている。そんな経験から、20年程前に見たきりの建物が全く変わっていなかった現実は、表現できないほどの「驚き」と、「感動」であったのだ。父と一緒に座った椅子、場内が満席の時に寄りかかった最後尾の鉄パイプ製の手すり、突然唸りを上げる空調機……。もう、何から何までが変わっていないことと、この場所に通った記憶が洪水のように蘇り、思わず涙が出そうになった。


それからというもの、時間の許す限りの「亀有名画座」通いが始まった。ここで観た日活(にっかつ)ロマンポルノとピンク映画の数々は、私の偏見の目を覚ますには充分であった。濡れ場があってもあくまで映画としてのドラマを撮ろうというスタッフの意気込みが見える、一般に評価されないジャンルでの頑張りに何度感動させられたかもわからないくらいだった。


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だが、1999年2月28日。ついに「亀有名画座」はその使命を終えてしまった。その別れは余りにも突然であったが、あの「ラストショー亀有名画座」(1999年2月24日~2月28日)での、古びた場内に溢れんばかりの観客と共に名作揃いの日活ロマンポルノとピンク映画を観た、あの熱気と感動は決して忘れることはないだろう。


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「ラストショー亀有名画座」(1999年2月27日) 撮影:血祭鉄兵


もう「亀有名画座」が姿を消して随分経ってしまったが、私はそれがあった場所には1999年2月28日以降、一度も行っていない。人づてにその後、某劇団の公演のために建物がボロボロにされたとか、きれいに更地になってしまったという話を聞いてはいるが、自分でその事実を認めたくないという気持ちが働いているのか、あえてその話を確認するためにその地に出向こうという気が全く起きないのだ。


今でも仕事帰りの夕暮れ時、ふと亀有に行きたくなる。未練がましいのかもしれないが、私の心の中では今でも「亀有名画座」があるような、そんな気がするのだ。


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亀有名画座左側にあった看板 撮影:児玉アパッチ 1995年5月20日




【ラストショー亀有名画座 1999年2月28日(日) 上映プログラム】

11:00~12:02 駅前欲情シネマ 悶絶遊戯 (1991年・新東宝) 62分
           (『性感クリニック 暗闇でモミモミ』に改題)
          監督:渡邊元嗣 脚本:双美零 主演:水鳥川彩/山本竜二/小川真実

12:15~13:15 ぼくらの季節 (1983年・ENK) 60分
          監督:廣木隆一 脚本:望月六郎 主演:中根徹/佐藤靖/池島ゆたか/大杉漣

13:30~14:41 生贄夫人 (1974年・日活) 71分
          監督:小沼勝 脚本:田中陽造 主演:東てる美/谷ナオミ/坂本長利
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14:55~15:55 神田川淫乱戦争 (1983年・ミリオン) 60分
          監督・脚本:黒沢清 主演:麻生うさぎ/美野真琴/森田達也
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昭和ポルノ劇場 神田川淫乱戦争 [DVD]


16:10~17:10 十三人連続暴行魔 (1978年・新東宝) 60分
          監督:若松孝二 脚本:掛川正幸 主演:荒木クミ子/阿部薫(兼音楽)/山下エミ
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13人連続暴行魔 (レンタル専用版) [DVD]


17:25~18:29 痴漢電車 下着検札 (1984年・新東宝) 64分
          (『痴漢電車 朝の悦しみ』に改題)
          監督:滝田洋二郎 脚本:高木功 主演:竹村祐佳/螢雪次朗/竹中ナオト(直人)

18:45~19:45 変態テレフォンONANIE (1992年・新東宝) 60分
          監督・脚本・主演:佐野和宏 主演:岸加奈子/梶野考/高木杏子
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(原題は『Don't let it bring you down』)
Don’t let it bring you down [DVD]


20:00~21:16 恋人たちは濡れた (1973年・日活) 76分
          監督・脚本:神代辰巳 脚本:鴨田好史 主演:中川梨絵/大江徹/絵沢萌子
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恋人たちは濡れた [DVD]






参考文献

kamearimeigaza-panfumini19990207
亀有名画座公式パンフレット『こちら葛飾区亀有銀座奥名画座』(1999年2月7日発行・完売)

企画/堀内 恭 斜見 シネ彦
取材・執筆/斜見 シネ彦
編集/堀内 恭
発行/亀有名画座睦会


P・G_number591999
ピンク映画情報誌『P・G』NO.59 (1999年5月1日発行)

編集・発行/林田 義行

文中一部敬称略

テーマ:昔の映画 - ジャンル:映画

  1. 2016/10/18(火) 06:30:00|
  2. 亀有名画座
  3. | コメント:0

児玉アパッチ総帥特別寄稿 【亀有名画座エターナル・センチュリー2100】

1941年に「亀有會館」として竣工され、戦後の1959年に東映封切専門館「亀有東映」、1980年に一般映画・成人映画各社を特選上映する「亀有名画座」、1983年に成人映画特選上映専門館(春・夏・冬休み期間中のみ「東映まんがまつり」、「東映アニメフェア」を封切上映)となった「亀有名画座」は、紆余曲折を経ながらも大勢の観客に親しまれてきた商店街の中の映画館だった。


ロマンポルノ・ピンク映画の殿堂”、“名画座アラモの砦”とも呼ばれた亀有名画座は、立地する「本通り商店街」の東京都による道路拡張工事を理由に、1999年2月28日をもって惜しまれながら58年の歴史に幕を閉じた。


そこで、受験生時代の1990年代前半、千葉から亀有名画座に通い始めてその魅力にZokkon命(ゾッコンラヴ)になり、亀有を取材してその素晴らしさをミニコミ誌『季刊サブカル通信』を通じてヤングに知らせることに情熱を燃やした、児玉アパッチ総帥にありったけの“亀有名画座オマージュ”を綴ってもらった。


※1999年3月に寄稿していただいたものを、Web掲載用に再構成いたしました。


【亀有名画座エターナル・センチュリー2100】


文:児玉 アパッチ 構成・補足:血祭 鉄兵


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児玉 アパッチ総帥



子供の頃、俺には夢があった。その夢を想う時、俺は一刻も早く大人になりたいと思った。


俺の夢。


それは「にっかつロマンポルノ成人映画館でしこたま観てエロい気分に浸りまくること」だった。


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亀有名画座はそんな俺の夢を100%叶えてくれた。にっかつが、俺が18になるのを待たずして1988年にロマンポルノの製作を終了したため、厳選されたロマンポルノの旧作を立て続けに観れる最後の砦は、成人映画の名画座・亀有名画座だったのだ。


亀有名画座1995年5月20日撮影
亀有名画座(1995年5月20日) 撮影:児玉アパッチ


もし、亀有名画座がなければ、また、様々な紆余曲折の末、ロマンポルノ・ピンク映画の名画座という体制を取っていなければ、俺の夢は終生叶うことなく宙ぶらりんだったに違いない。自らの運命と生まれてきた時期を悔やみボヤき、ひょっとしたらグレていたかもしれない。その意味で俺は亀有名画座に出会えてほんとうに幸福だった。


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そして何よりも今井支配人には大変お世話になり、業務中お忙しくお疲れの中、ご迷惑もおかけした。今井さんご自身へのインタビューや、館内ロビーを使わせていただいた佐藤寿保監督、小沼 勝監督インタビューピンク大賞舞台挨拶などのイベント取材にとどまらず、我々が発行するインディーズマガジンYOUNG JAPANや、その前身である『季刊サブカル通信』の既刊号までも快く委託販売させてくださった今井さんの懐の深さと御厚意には、感謝の言葉だけではとても足りない。


季刊サブカル通信第3号イキっぱなし亀有
『季刊サブカル通信』第3号(1996年新装改訂版)


亀有名画座を取材してから約1カ月後、我々が「怒られるんじゃないか?」と思って恐る恐る今井さんに献上させていただいた『季刊サブカル通信』第3号「イキっぱなし!! 亀有~下町のエルサレム~」(1995年6月12日発行)をお忙しい中、快く読んでくださり、にこやかに応えてくれた、

「おもしろいよ、十返舎一九みたいでさ」

と笑いながら仰ったその一言が、その後の我々のパワーとやる気の原動力だった。もし、亀有名画座と今井さんと出会っていなければ、その後のインディーズマガジン『YOUNG JAPAN』へのリニューアルは無かったと言っていい。


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『YOUNG JAPAN』02 Ver.Zero (2004年発行)


俺が最後に亀有名画座を訪れたのは閉館日前日の1999年2月27日だった。受験生の頃から学生時代にかけて最も足繁く通い、夢を叶えさせてもらい、『YOUNG JAPAN』の委託販売の役目まで引き受けてくれた名画座が、「亀有會館」オープンの1941年から58年に渡るその使命を明日で終えようとしているのだ。


週に1回以上は亀有名画座に行かないと気が狂いそう」とまで言い、通い続けた血祭鉄兵。オブジェクティブ・アナライザーとして亀有名画座を見ていた山背悟平と共に再開発で激変した亀有駅南口から名画座へ歩を進めていた。俺は学生時代ほど亀有には頻繁に通わなくなったこともあり、ブルーで感傷めいた気持ちに心が覆われていた。


再開発後の亀有駅南口1996年
「亀有駅南口地区第一種開発事業」完了後の亀有駅南口 1996年 撮影:血祭鉄兵


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亀有本通り商店街 (道路拡張工事完了前) 1996年 撮影:血祭鉄兵


しかし、亀有名画座に着くや否や、そんなカビの生えた感傷はスチームターボで一気に吹っ飛ばされた。名画座の前に「行列」が出来ていたのだ。しかも時間を追うごとに館内が「超満杯」になっていったのである。


日本中のどこから一体こんなに人が集まったのかと思うほど、次から次へと映画ファン・亀有名画座ファンが怒涛の如く押しかけてくる。
館内の224の座席はたちどころに埋まり、通路まで観客がびっしり。しめやかな通夜に参列したつもりが、ふんどし一丁でリオのカーニバルに投げ出され、阿波踊りを踊っているような気分だった。


Samba_FeverCD
ブラジル サンバ・フィーバー


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阿波おどり みんな楽しく!!踊らにゃソンソン [DVD]


館内は学生さん、地元の工員さん、ジーさん、営業サボりらしきサラリーマンの“亀有常連四天王”にとどまらず、オシャレなヤングカップルや、芸能関係者だろうか、何やらタダ者ではないオーラを発散してる謎の人物がたくさんいる(※「ラストショー亀有名画座」の5日間は映画業界関係者の方々も多数来場)。


どの顔もドスケベで陽気で脂ぎっていて気持ちいいまでに日本晴だった。成人映画を心から楽しんでやろう、「ラストショー亀有名画座」を見届けてやろうという映画ファン・亀有名画座ファンの熱気と心意気とで床が抜け、天井が吹っ飛んでもおかしくないほどだった。


更に俺の驚きと興奮にターボをかけたのが、“売り子の姉ちゃん”だった。数年間一度もお目にかからなかったのは、俺が亀有を訪れた日と彼女たちの出勤日とがズレていたせいだろう。館内には亀有名画座の最終兵器“売り子の姉ちゃん”が出現し、盛んにお菓子やキャラメル、ホットコーヒーを売っていたのだ。


売り子もイカすぜ亀有名画座!!


祭りの様に熱狂的で賑やかな館内の光景を見てシビれながら、俺は1995年に初めて今井さんにインタビューさせていただいた時、楽しそうに語っておられたことを不意に思い出した。


「地元のお客さんだけで館内はいっぱい。何を上映しても当たりましたね。下駄履きや、サンダル履きで手に弁当箱ぶら下げて押しかけてくるんです。館内で煎餅食べたり、たばこ吸ったり自由にやってましたね。皆さん気楽に映画を楽しんでましたよ」
(1995年6月12日発行『季刊サブカル通信』第3号「亀有名画座支配人・今井道雄さんブチこみインタビュー」より)


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ああ。これか。これだったのか。これが今井さんが仰っていた映画全盛時代の亀有名画座の姿なのか。納得すると同時に何か感慨に全身が包まれたのを思い出す。俺は本当に最後の最後になって初めて「ベスト・オブ・ザ・亀有名画座」を目の当たりにすることができたのだ。
また、想像を絶する観客数を集めることができたのは、ラストショー実行委員会の方々の御尽力だと閉館後、血祭鉄兵に知らされた。皆様の御尽力にあらためて恐れ入っております。


学生時代、血祭鉄兵と「亀有名画座がヤングボーイやピチピチギャルで満席になったらいいなぁ」と話していたことが、想像を遥かに超えて目の前で現実となって展開されている。思わず胸がつまった。そして、ラストショー興行に関してノータッチだった我々の如き輩が入場できるように取り計らっていただいた実行委員の皆さんに、深く感謝せずにはいられなかった。


俺はあの日、亀有名画座に行けて本当に幸福だった。もし、あの日、亀有名画座に行けなかったら俺は一生後悔していただろう。それくらい幸福だった。


(この日、怒涛の勢いでぶっ通し上映された14本は最後に記します)


今でも俺は言おう。
あの日の亀有名画座は閉館を翌日に控えた映画館には全然見えなかった。陽気で賑やかでハッピーラッキームード満点の映画ファン・亀有名画座ファンと共に、今井さんと奥様の舵のもと、亀有名画座が日本映画を支えていく“名画座の裏番長”として2010年、いや2100年までも続いていくような気がしてならなかったのである。


今井さん、奥さん、亀有名画座を支えてきた皆さん。
言葉が足りないのを承知で、血祭くんのメチャンコブログを借りて言わせてください。


約半世紀、お疲れ様でした。そして本当に、ありがとうございました。


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「ラストショー亀有名画座」(1999年2月27日) 撮影:血祭鉄兵 Left:児玉アパッチ Right:山背悟平


「ラストショー亀有名画座」の5日間延べ動員数1836人(ピンク映画情報誌『P・G』NO.59より)






【ラストショー亀有名画座 1999年2月27日(土) 上映プログラム】

11:00~12:15 マル秘湯の町 夜のひとで (1970年) 75分 16mm
          監督:渡辺護 脚本:大和屋竺

12:15~13:16 ラビットセックス 女子学生集団暴行事件 (1980年・国映) 61分 16mm
           監督・脚本:小水一夫 主演:朝霧友香/野上正義/杉佳代子

13:30~14:31 襲られた女 (1980年・ミリオン) 61分 16mm
           監督:高橋伴明 脚本:米田彰 主演:忍海よしこ/山路和弘/下元史朗
YararetaOnnaDVD
昭和ポルノ劇場 襲られた女 [DVD]


14:45~15:54 濡れ牡丹 五悪人暴行篇 (1970年・国映) 74分 16mm
           監督:梅沢薫(※追悼上映) 脚本・主演:大和屋竺 主演:港雄一/山本昌平

16:10~17:09 不倫妻の性 快楽あさり (1992年・新東宝) 59分 16mm
           監督:サトウトシキ 脚本:小林宏一(政広) 主演:栗原早紀/岸加奈子/杉浦峰夫
Tanjunnahanashi_SatouToshikiDVD
単純な話 [DVD]


17:25~18:53 ラブホテル (1985年・にっかつ) 88分
           監督:相米慎二 脚本:石井隆 主演:速水典子/寺田農/志水季里子
Lovehotel_nikkatsuDVD
ラブホテル


19:05~20:07 緊縛の仕置(『ザ・SMレズ』に改題) (1985年・新東宝) 62分
           監督・脚本:北川徹(磯村一路) 脚本:井上潔 主演:田口あゆみ/牧村耕次

20:20~21:37 マル秘女郎責め地獄 (1973年・日活) 77分
           監督:田中登 脚本:田中陽造 主演:中川梨絵/山科ゆり/堂下繁
Maruhi_Jorou_SemejigokuDVD
(秘)女郎責め地獄



21:50~22:55 アブノーマル 陰虐 (1988年・新東宝) 65分
           監督:佐藤寿保 脚本:夢野史郎 主演/伊藤清美/小野幸生/風見玲香
ABNORMAL_IngyakuVHS


23:10~00:10 ときめきの午後 (1988年・ENK) 60分
           監督・脚本:橋口卓明 主演/工藤克己/池島ゆたか/山本竜二

00:20~01:20 若奥様のナマ下着 (1987年・日活) 60分
           監督:石川欣 脚本:加藤正人 主演:小沢めぐみ/後藤康夫/相原久美
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若奥様のナマ下着 NYK-227 [DVD]

01:30~02:31 牝臭 とろける花芯 (1996年・新東宝) 61分
           監督・脚本:瀬々敬久 脚本:井上紀州 主演:穂村柳明/槇原めぐみ/川瀬陽太

02:40~03:42 変態家族 兄貴の嫁さん (1984年・国映) 62分
           監督・脚本:周防正行 主演:風かおる/大杉漣/下元史朗
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変態家族 兄貴の嫁さん [DVD]

03:50~05:08 ラストキャバレー (1988年・にっかつ) 78分
           監督:金子修介 脚本:じんのひろあき 主演:加藤みゆき/大地康雄/渡辺航
LastCabaretVHS
ラスト・キャバレー [VHS]



参考文献

kamearimeigaza-panfumini19990207
亀有名画座公式パンフレット『こちら葛飾区亀有銀座奥名画座』(1999年2月7日発行・完売)

企画/堀内 恭 斜見 シネ彦
取材・執筆/斜見 シネ彦
編集/堀内 恭
発行/亀有名画座睦会


P・G_number591999
ピンク映画情報誌『P・G』NO.59 (1999年5月1日発行)

編集・発行/林田 義行

文中一部敬称略

テーマ:昔の映画 - ジャンル:映画

  1. 2016/10/14(金) 06:30:00|
  2. 亀有名画座
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プロフィール

血祭鉄兵

Author:血祭鉄兵
所属 : Office YOUNG JAPAN

やっピー♪(←のりピー語)

80年代ウキウキWatching。

頭ん中Upside-downで、ラ・ムーにハマりっぱなしな40歳のAMラジオエアチェッカーでーす!

懐かシビれる1980年代ネタ+死語連発の文章表現ミニコミ誌『YOUNG JAPAN』(発行は完全不定期)編集主幹をやっとりマッスル。

「ファッションアイテムとしてのジャイアンツ帽」
の被りこなしも追求してるジャイアンツ帽Lover。


好きな食べ物・飲み物

うどん、ちゃんぽん、竹下製菓のアイス、ねるねるねるね、エビスビール


好きな有名人

岡田武史(日本サッカー協会副会長)、みのもんた、にしおかすみこ、ヨネスケ師匠、大槻ケンヂ、YOSHIKI 

好きな音楽

X JAPAN、VIOLET UK、AURA、JAGUAR、Zilch、筋肉少女帯、空手バカボン、V2、CRAIG ARMSTRONG、EVANESCENCE、King Crimson、Emerson, Lake & Palmer、Goblin、T-REX、80年代アイドル歌謡、映画サントラ、小室哲哉先生が歌う曲全部。

好きな映画

処刑ライダー、WAR GAMES、スニーカーズ、超能力学園Z、ザ・カンニング〔IQ=0〕(1980年・フランス映画)、BE BOP-HIGH SCHOOL~高校与太郎哀歌~、爆裂都市、狂い咲きサンダーロード、パンツの穴、ザ・サムライ、Mr.ジレンマン、太陽を盗んだ男、屋根裏の散歩者(実相寺昭雄監督版)、赫い髪の女、女必殺拳シリーズ、新幹線大爆破、シベリア超特急(全作品)など。

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